おうちで楽しむパンとワイン
コロナ禍で外食の制限が続くなか「お店のような気分で食事をしたい」「おうちでもちょっと豪華なディナーを楽しみたい」と思う人が増えています。そんな方におすすめしたいのが『パンとワイン』のディナーです。
サラダにパンを散らしてみたり、おつまみになりそうなサンドイッチやブルスケッタを作ってみたり、もちろんレストランのようにお皿に残ったタレやソースをパンにつけて食べてもいい。こう考えるとワインに合うパンのメニューの幅は意外と広いのです。
「でもお料理とワインの合わせ方が分からない」という人もいるでしょう。
そこでエノテカのワインアドバイザー・改野晃一さんに、ワインの最新情報からおうちご飯に合わせやすいワインの選び方までを教えてもらいました。
1年でみんなどれぐらいワインを飲むの?
皆さんは普段どのくらいワインを飲まれているでしょうか?
OIV(国際ぶどう酒機構)によると2020年度の1人あたりの飲用量の世界1位はポルトガルで52リットル、2位がイタリアで47リットル、3位がフランスで46リットル。
それに対して日本はというと……3.1リットルです。
「そんなに少ないの?」と思いますよね?でも実は1990年の調査では1リットル以下だったんです。つまりこの30年で日本人は3倍もワインを飲むようになったということ。
さらに、1人あたりの単価は日本も含めて年々上がってきています。ワインが身近な存在になったことで、みんな良いワインを飲みたいと思うようになってきているのかもしれません。
日本での人気はリーズナブルでおいしいチリワイン
ワインの生産国というと、フランスやイタリアを思い浮かべますよね。
ところが財務省のデータによると、日本への輸入量第一位は6年連続チリで、2020年度は4910万リットル。
続いて2位はフランス、3位はイタリア、スペイン、アメリカと続きます。
実はチリの土壌はワイン造りにとても適しています。それでいて土地代や人件費がヨーロッパよりも安く、日本の関税も低いため、良質なワインをリーズナブルに楽しむことができるのです。こんなにお得なチリワインを飲まないのはもったいない。
ちなみに、エノテカで人気のワイン「モンテス」もチリのワイナリーです。
欧米ではロゼワインの人気が急上昇!
欧米ではロゼワインの人気が急上昇しています。実際、ヨーロッパでは白ワインよりもロゼワインの方が売れているほど。アメリカでもかなり売り上げを伸ばしているそうです。なぜロゼワインなのでしょうか。
理由のひとつは、料理とのマリアージュが難しくないところだと思っています。
日本では「赤と白の中間」と思われることも多いロゼですが、「赤と白、両方の要素を持っている」と考えれば、魚にも肉にも合わせやすいということ。赤と白、両方空けるのはためらう、そんな時にもロゼワインは重宝します。みなさんにももっと飲んで欲しいワインです。
コロナ禍の日本では白ワインの人気が復活
1980年代頃まで赤ワインは「渋くて飲めない」と人気がなく、売り上げの大半は白ワインが占めていました。
ところが90年代に入ると「フレンチパラドックス」、いわゆるポリフェノールブームが起き、状況は一変。「フランス人はタバコも吸って、肉も食べるのに心臓病になる人が少ないのは赤ワインを飲んでいるからだ!」と、これまでワインと縁のなかった高齢者の方々まで赤ワインを飲むようになりました。そこからずっと赤ワイン人気が続いていたのですが、コロナ禍で白ワインが売れるようになってきました。
その理由はおうちでご飯を食べる機会が増えたから。日常的な家庭料理に赤ワインはマリアージュ的にバランスを取るのが難しい。その点、和食と相性の良い白ワインならデイリーワインにぴったりです。今後も白ワイン人気は続くと思われます。
おうちで飲むワインを選ぶ時のポイントは?
ワインを選ぶポイントはいくつかありますが、今回は一番わかりやすいものをご紹介します。
まずは赤ワイン。軽い飲み口のものから「ライトボディ」、「ミディアムボディ」、「フルボディ」と表現されます。ローストビーフなどあっさりとした肉料理にはライトボディ、シチューやステーキ、ハンバーグなどにはフルボディと、料理の濃厚さに合わせて、飲み口を選ぶといいでしょう。
続いては白ワイン。少しざっくりしていますが、軽めのものは「エレガント」や「フレッシュ感のある」、コクのあるワインは「ミネラル感」や「しっかりとした」と表現されることが多いですね。こちらも料理の味付けに合わせて選びましょう。ポトフやお刺身などあっさりとしたお料理にはフレッシュな白ワインを、ポークソテーやグラタンなど濃厚な料理には、しっかりとした白ワインを選んでください。
欧米で人気のロゼワインは、先ほどもお伝えしたようにオールマイティなワインです。どんなお料理にも合うので、迷ったらロゼを買うというのも一案です。生ハムやサラミのような軽めの肉料理、魚料理やサラダ、意外なところでは中華料理やエスニックにもぴったり。醤油との相性もいいので、手巻き寿司と合わせても楽しいですよ。
最後はスパークリングワイン。シャンパンは厳格なルールがあり、その分お値段も高めです。一方、それ以外のものはスパークリングワインに分類されて、生産国もぶどうも味わいもさまざま。1000円台のリーズナブルなものもたくさんあります。泡が口の中をさっぱりと洗い流してくれるので、油が多い料理や揚げ物と相性がいい。食前酒として楽しむことも多いので、サラダや生ハムなど、スターターのお料理ともよく合います。
他にも濃い味付けには濃いワイン、繊細な料理には繊細なワインを合わせたり、食材や料理とワインの色を揃えるのもいいでしょう。例えば牛肉や豚肉などの赤身には赤、鶏肉には白、生ハムやサーモンならロゼが合いますよ。
最後に改野さん直々に、ワインに合うヤマザキッチンのレシピも選んでいただきました。
おいしいワインとパンを揃えて、おうちでいつもとちょっと違う夕食を楽しんでみませんか?