ブータン王国
“幸せの国”の朝は、
蕎麦とバターの香り
蕎麦粉のパンケーキ「クレ」に、香味野菜やスパイスなどを加えた唐辛子の薬味“エジー”とバター、ブロッコリーとにんじんの副菜を添えたブータンの伝統的な朝食。クレは特に蕎麦の主要産地の一つ、中部ブムタン地方の名物でもある。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2024年11月号
編集タイアップ企画より
蕎麦粉のパンケーキ「クレ」に、香味野菜やスパイスなどを加えた唐辛子の薬味“エジー”とバター、ブロッコリーとにんじんの副菜を添えたブータンの伝統的な朝食。クレは特に蕎麦の主要産地の一つ、中部ブムタン地方の名物でもある。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2024年11月号
編集タイアップ企画より
ブータン王国
“幸せの国”の朝は、蕎麦とバターの香り
*取材協力:「ニキズキッチン Niki’s Kitchen」ホームステイ感覚で、各国本場の味をネイティブ講師の自宅で教わる料理&英会話教室。今回は、ブータン料理教室リリさんが担当。
www.nikikitchen.com
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国土の多くが山岳地帯。澄んだ空気と水に恵まれた秘境の地・ブータン。そんなこの国の伝統的な特産物の一つが蕎麦。晩夏、ヒマラヤ山脈を背景に咲く蕎麦の可憐な花は、住民たちの大切な心の風景ともなっている。
食べ方は、麺に蕎麦がき、餃子の皮。なかでも朝食で広く愛されているのが「クレ」。蕎麦の自然な甘味をしみじみ感じるパンケーキだ。これに地場産バターを合わせると意外なほどリッチに変化。酪農も盛んな土地なのだ。
「蜂蜜を垂らすともっと美味、至福だよ」とは、ある観光客。でも地元の人がプラスするのは、唐辛子の薬味だ。どんな料理にも唐辛子を使うのがブータンの人々。子供の頃から少しずつ食べ始め、やがてないと物足りなくなるのだという。パンケーキにバター、唐辛子。何とも異国の組み合わせだが、食べると不思議な懐かしさが込み上げてくるのが、この国の味である。
大家族の多いブータンの食卓はいつも賑やか。朝食もみんなで車座になり、笑って食べて、また笑う。「この間は子供が大人用の唐辛子ピクルスを食べて、大騒ぎになってね」。笑顔で交わすさりげない会話に温かさが宿る。伝統や文化、環境を守り、経済より国民の幸福度(国民総幸福量=GNH)を国の指標とするブータン。何よりこうした日常が、この国の豊かさを物語る。
さて、昔ながらの朝食が受け継がれる一方、近年都市部を中心に人気なのがパンだ。フレンチトーストやサンドイッチなど、母の手づくりパン料理は子供たちも大好きで、おやつにもせがむほど。もちろん、具には唐辛子を加えるのがブータン流。家族全員で囲む食卓風景も変わらない。変わったのは、そこに香ばしいパンの香りが加わったこと。“幸せの国”にさらに楽しい時間が紡がれる、予感に満ちた香りである。
おススメのパン
辛さ爽快!ブータン流フレンチトーストと2種類のディップ。チャイを添えて
もっちりした食パンとスパイス&ハーブの魅惑
ブータンの朝食で人気。卵と牛乳のコク、唐辛子の辛味とハーブの香りが爽やかなブータン流フレンチトースト「チリブレッド」を紹介します。おいしさのポイントは、トーストでもっちりした食感が魅力の厚切り食パンを使うこと。添えたトッピング用ディップのアボカドペーストとトマトチャツネ、チャイとの相性も抜群です。
おススメのパン
材料(4人分)
[フレンチトースト] |
|
超芳醇(5枚切り) |
4枚 |
卵 |
2個 |
牛乳 |
50ml |
青唐辛子(細かく刻む) |
2〜3本 |
玉ねぎ(細かく刻む) |
1個 |
トマト(細かく刻む) |
1個 |
コリアンダーの葉(細かく刻む) |
大さじ2 |
赤唐辛子粉 |
小さじ1/2 |
黒胡椒 |
小さじ1/4 |
塩 |
適量 |
バター |
大さじ2 |
[アボカドペースト](作りやすい分量) |
|
熟したアボカド |
2個 |
レモン汁 |
大さじ1 |
にんにく(みじん切り) |
1片 |
マヨネーズ |
小さじ1 |
塩、黒胡椒 |
各適量 |
[トマトチャツネ](作りやすい分量) |
|
熟したトマト(細かく刻む) |
4〜5個 |
玉ねぎ(みじん切り) |
1個 |
にんにく(みじん切り) |
2〜3片 |
青唐辛子(細かく刻む) |
1〜2本 |
マスタードシード |
小さじ1 |
クミンシード |
小さじ1 |
ターメリックパウダー |
小さじ1/2 |
サラダ油 |
大さじ1 |
塩 |
適量 |
[チャイ] |
|
水 |
800ml |
牛乳 |
400ml |
紅茶の茶葉(アッサムまたはセイロン) |
小さじ4 |
砂糖 |
適量 |
グリーンカルダモン(軽く砕く) |
3〜4粒 |
シナモンスティック(小さめ) |
2片 |
クローブ |
5〜6粒 |
生姜(皮をむいて砕く) |
1片 |
作り方
- アボカドペーストを作ります。アボカドの果肉をボウルに入れ、フォークの背などでつぶしたら、レモン汁を加えて混ぜ合わせます。さらににんにく、マヨネーズも加えて混ぜ、塩、黒胡椒で味を調えます。
- トマトチャツネを作ります。フライパンにサラダ油を中火で熱し、マスタードシード、クミンシードを入れて炒めます。パチパチと弾ける音がしたら、玉ねぎ、にんにく、青唐辛子を加え、玉ねぎが透明になるまで炒めます。さらにトマト、ターメリックパウダー、塩も加え、ときどきかき混ぜながらトマトが柔らかくなるまで10〜15分煮込み、仕上げにスプーンの背などで全体をつぶしてなめらかにします。
- チャイを淹れます。鍋で水を沸騰させたら、グリーンカルダモン、シナモンスティック、クローブ、生姜を加えて2〜3分煮た後、紅茶の茶葉を加えてさらに2〜3分煮ます。液色が濃くなり紅茶がしっかり抽出できたら、牛乳、砂糖を加えてよく混ぜ、さらに2〜3分沸騰しないように火加減を調節しながら煮ます。最後に茶漉しなどでスパイスや茶葉を漉してカップに注ぎます。
- フレンチトーストを作ります。ボウルに卵を割り入れ、牛乳を加えてよく混ぜ合わせた後、青唐辛子、玉ねぎ、トマト、コリアンダーの葉、赤唐辛子粉、黒胡椒を加えてさらに混ぜ、味を見て塩で調味し、バットに流し込みます。
- ④に超芳醇1枚を入れ、両面を浸します。
- 中火にかけたフライパンにバター大さじ1/2を溶かして⑤を入れ、上面に④の具の1/8程度をのせて全体にのばします。すぐに上下を返し、先程と同様に④の具の1/8程度をのせて全体にのばしながら1〜2分焼きます。さらに上下を返して1〜2分焼き、両面が黄金色になったらフライパンから取り出し、食べやすいように斜め半分に切ります。
- 残りの超芳醇3枚も⑤、⑥と同様の手順で調理し、それぞれ器に盛りつけたら、トッピング用ディップの①と②、③のチャイを添えてどうぞ。
ひとくちメモ
辛さは青唐辛子や赤唐辛子粉の量で調節してください。より風味豊かにしたい場合は、卵液にガラムマサラを少量加えたり、フライパンでパンを焼くときに粉チーズを少量ふりかけるのもお薦めです。