香港
ねぎ愛があふれる。美食天国のパン
薄めに広げた小麦粉生地に、打ち粉でなく油を塗ってから青ねぎを散らし、巻いてひねり、さらにのばして焼くことで、薄い層が重なるパイ状になった中華パンの「葱油餅(ツォンヨウビン)」。香港ではハムやチーズ、野菜をのせるなどのアレンジも盛ん。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2025年1月号
編集タイアップ企画より
薄めに広げた小麦粉生地に、打ち粉でなく油を塗ってから青ねぎを散らし、巻いてひねり、さらにのばして焼くことで、薄い層が重なるパイ状になった中華パンの「葱油餅(ツォンヨウビン)」。香港ではハムやチーズ、野菜をのせるなどのアレンジも盛ん。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2025年1月号
編集タイアップ企画より
*取材協力:「HAN(ハン)」東京都目黒区中央町1-19-14 メディス学芸大学2階 ☎︎03-6826-9314 旅する料理研究家・口尾麻美さんが各国で出合った料理とナチュラルワイン、クラフトビールを楽しめる店。
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“美食天堂(メイシーティェンタン)”。日本語で美食天国と呼ばれる香港は、世界有数のねぎ愛にあふれる街だ。中国各地の美味が集結するこの地では、味を決める名脇役として、時には主役としてねぎが大活躍。特に小葱(シァォツォン/青ねぎ)の存在感は圧倒的で、小口切りにして薬味や彩りに、極めつきは葱油(ツォンヨウ)にして前菜や麺、海鮮にもどっさり使う。
そんな小葱料理の傑作が「葱油餅(ツォンヨウビン)」。油を塗った小麦粉生地に小口切りの小葱を散らして棒状に巻き、ひねってから潰し、円盤状にのばして焼いた中華パンだ。薄い層がパイ状に重なった生地はサクサクとして意外に軽く、小葱の香ばしい風味が後をひく。点心の定番だが、食堂や屋台の軽食としても親しまれている。
子供から大人まで大好物。家でも家族が揃うときなどには、大量につくるそう。みんなたくさん食べて、残ったら刻んで野菜と一緒に炒め物にする。これまた美味。外食文化が発達した香港だが、そこは美食天国。家庭の食がおいしくないはずがない。「香港人は舌が肥えているんだ」と、現地の人は胸を張る。
自由貿易で栄えてきた国際都市。今も変わらず世界から、人、もの、文化が集まる。一流の各国料理も楽しめるが、それらを自分たちの文化と融合させた“港式(ガンシー)”もまた、内外の人を惹きつける。英国由来の食パン料理はその典型で、サンドイッチは三文治(サンウェンヂー)、トーストは多士(ドゥォシー)と名前を変えて独自の進化を遂げている。
さて、香港の朝。港式料理が楽しめる喫茶兼大衆食堂の茶餐廳(チャーツァンティン)は、早くから大賑わい。老紳士や老婦人はのんびりと、若者は仕事や学校前に慌ただしくとそれぞれに違いはあるが、サンドイッチやトーストを味わう表情はみんな満足そう。それはまるで、自分たちの変わらぬ香港を、噛みしめているかのようである。
おススメのパン
青ねぎが香る!ふわふわ卵のトーストサンド「葱花蛋治」
卵と青ねぎ、バター、パンのおいしい幸せ
香港のたまごサンドは、ふわふわのスクランブルエッグを食パンで挟むのが基本形。ハムを一緒に挟んだり、卵液にコンビーフを入れるなどバリエーションはいろいろですが、今回は青ねぎをたっぷり使ったトーストサンド「葱花蛋治(ツォンファダンヂー)」をご紹介。焼くと外がカリッ、中がもちっとする食パンを選び、バターをたっぷり塗るのがおいしさのポイントです。
おススメのパン
材料(1人分)
超芳醇(6枚切り) |
2枚 |
卵 |
2個 |
万能ねぎ(小口切り) |
大さじ3 |
エバミルク(生クリーム、牛乳でも可) |
小さじ2 |
塩 |
小さじ1/4 |
サラダ油 |
大さじ1 |
バター |
小さじ2 |
作り方
- ボウルに卵を割り入れ、万能ねぎ、エバミルク、塩を加えて菜箸でよくかき混ぜます。
- フライパンにサラダ油を熱し、①を流し入れたら火を弱め、底が固まってきたらヘラなどで底からすくい上げるように大きく数回混ぜて、火を止めます。
- 常温に戻したバターを半量ずつ、超芳醇それぞれの片面に塗り、オーブントースターなどでこんがりと焼きます。
- ③の1枚をバターを塗った面を上にして置き、②をのせたら、もう1枚の③はバターを塗った面を下にしてかぶせます。食べやすいように半分に切り、器に盛りつけます。
ひとくちメモ
万能ねぎに九条ねぎを加えると、甘味や風味が増してさらにおいしくなります。