ルーマニア
パンと生きる国の
“ザ・ベスト”パンの友
ルーマニアの伝統料理「ブレッドボウル」。丸パンの中身は、豆と自家製ソーセージのシチュー。こっくりとして体が芯から温まる一皿だ。夏は冷製スープなど、パンに注ぐスープは多彩。一年を通して楽しまれている。やはり伝統料理のパプリカのマリネ(右奥)を添えて。
撮影:松島 均
月刊ダンチュウ[dancyu]
2021年 1月号
編集タイアップ企画より
ルーマニアの伝統料理「ブレッドボウル」。丸パンの中身は、豆と自家製ソーセージのシチュー。こっくりとして体が芯から温まる一皿だ。夏は冷製スープなど、パンに注ぐスープは多彩。一年を通して楽しまれている。やはり伝統料理のパプリカのマリネ(右奥)を添えて。
撮影:松島 均
月刊ダンチュウ[dancyu]
2021年 1月
編集タイアップ企画より
ルーマニア
パンと生きる国の“ザ・ベスト”パンの友
*取材協力:「Niki’s Kitchen英語料理教室」本場の味をネイティブ講師に教わる料理教室。今回はルーマニア料理のミミ&ダナ先生が担当。
www.nikikitchen.com
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この国の料理の土台には、パンを愛する国民性があるのだろう。「ブレッドボウル」に使う丸パンは、中くらいの南瓜サイズ。クラムをくりぬき、できた穴にスープを注ぐ。ルーマニアの伝統的な家庭料理だ。
もともと食材をシンプルに生かしたおいしさで知られる、ルーマニアのスープやシチュー。パンの器が、そこに小麦の風味を添え、さらに味わい深くする。ちぎったパンと一緒に食べ進み、最後に残るご馳走がスープの旨味をたっぷり吸ったパンの底。何と幸福な料理だろう。多くの家で、ブレッドボウルの日は昼からパンを手づくり。ずいぶん手間がかかると想像するが、「これがルーマニア料理よ」と笑顔で答えるのがこの国の主婦たちだ。
東欧唯一のラテン民族の国。食べることが大好きな人々が、一日三回の食事に欠かさないのがパン。祝日や人生の節目には特別なパンを焼き、皆で分かち合う。パンとともに生きる国なのだ。
そんなルーマニアで、パンの最高の友と言えば「ザクスカ」。名産のパプリカと茄子、玉ねぎのペーストで、濃厚な旨味、甘味が小麦の香りと抜群に合う。余計な味つけはせず、長時間煮込むことで野菜の滋味を引き出すため、調理は半日がかり。しかし、手を抜くことなど誰も考えない。
家族や友人との食事を何より大事にする人々。食卓で心と心を結び、楽しい時間を紡ぐのは、手をかけ、心を込めた料理だと信じている。その食卓は底抜けに陽気で、賑やかな会話が何時間も続く。パンと生き、美味を喜び、人を愛する。ルーマニアの食卓は、この国の幸福の象徴だ。
さて、そんなルーマニアの朝食。普段通りに用意されているのは、手づくりのジャムやペーストだ。冬は零下にまで冷え込む日も珍しくないが、ママがコトコトと煮た優しい味をパンにのせて噛みしめれば、すぐ温かさに包まれる。パンと暮らす日々の豊かさを実感する朝の風景である。
おススメのパン
パプリカと茄子の傑作ペースト!「ザクスカ」
ルーマニアの“ザ・ベスト”パンの友。最強レベルの常備菜
長時間オイルで煮た玉ねぎに、直火で焼いたパプリカ、茄子を合わせ、さらに数時間煮た野菜ペースト「ザクスカ」は、ルーマニアの“ザ・ベスト”パンの友。パプリカと茄子が旬の夏に家族総出でつくり、保存瓶に入れて一年を通して楽しむ。家ごとにレシピが微妙に違い、皆、自宅の味こそ最高と愛してやまない。
おススメのパン
材料(2人分)
ロイヤルブレッド(6枚切り) |
1〜2枚 |
ザクスカ(※) |
適量 |
※[ザクスカ] (作りやすい分量/500mlの保存容器2個分) |
|
茄子 |
5個 |
パプリカ(赤・黄いずれも可) |
3個 |
玉ねぎ |
2個 |
ひまわり油(サラダ油も可) |
500ml |
ローリエ(月桂樹の葉) |
1枚 |
塩 |
大さじ1 |
胡椒 |
小さじ1 |
作り方
- ザクスカを作ります。まず、鍋にサラダ油、皮をむいてざく切りにした玉ねぎを入れ、弱火で約2時間じっくり煮たら、玉ねぎを取り出して包丁で細かく叩き、鍋に戻します(油もそのまま残します)。
- 茄子は、焼き網またはコンロのグリルで皮が真っ黒になるまでじっくり焼き、皮をむきます。パプリカはフライパンに入れ、転がしながら表面の薄皮が真っ黒になり、身が柔らかくなるまで焼き(油不要)、皮をむきます。
- ②の茄子とパプリカを包丁で細かく叩いたら、①の鍋に入れ、ローリエ、塩、胡椒を加え、弱火で2〜3時間じっくり煮ます。鍋底が焦げないようにときどきかき混ぜながら、水分がほどよく抜けて全体がとろりと混ざり合ったらザクスカの出来上がりです。
- ロイヤルブレッドは4等分に切り、③のザクスカをのせながらどうぞ。
ひとくちメモ
ぜひ、生でおいしい食パン「ロイヤルブレッド」で楽しんでいただきたいレシピです。ザクスカは、煮沸した保存容器に冷めないうちに詰めて密封すれば、約1カ月間保存可能。但し、保存容器の蓋を一度開けたら、1週間を目安に使い切りましょう。また、茄子5個は米茄子2個でつくると、より本場の味に近づきます。時間はかかるけれど、つくる時間と手間がおいしさを育んでくれるレシピです。