モロッコ王国
おいしさを包む。
パンの国の流儀
薄い小麦粉生地のワルカ(右奥)に具を包んで揚げた「ブリワット」。具は牛や鶏の挽き肉、チーズなどにスパイス&ハーブを効かせた惣菜系から、アーモンドペーストなど甘いデザート系まである。写真のような三角形が最もポピュラー。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2024年5月号
編集タイアップ企画より
薄い小麦粉生地のワルカ(右奥)に具を包んで揚げた「ブリワット」。具は牛や鶏の挽き肉、チーズなどにスパイス&ハーブを効かせた惣菜系から、アーモンドペーストなど甘いデザート系まである。写真のような三角形が最もポピュラー。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2024年5月号
編集タイアップ企画より
モロッコ王国
おいしさを包む。パンの国の流儀
*取材協力:「HAN(ハン)」東京都目黒区中央町1-19-14 メディス学芸大学2階
☎︎03-6826-9314 旅する料理研究家・口尾麻美さんが各国で出合った料理とナチュラルワイン、クラフトビールを楽しめる店。
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一日三食、おやつにも。パンなしには過ごせないほど、パンが愛されている国がモロッコだ。「スパイスやオリーブオイルたっぷりの料理がパンと合う。一緒に食べたくなるものばかりなの」とは現地をよく知る人。アラブ風の平焼きパンから欧州風のリッチなものまで種類も豊富。ちぎって料理をすくうスプーンの役目も果たす。この国の食卓には、パンが深く溶け込んでいる。
肥沃な北部を中心に古来、小麦の産地。小麦粉料理の宝庫でもある。なかでも国民的人気が「ブリワット」。紙のように薄い生地で、肉や野菜、チーズなどさまざまな具を包み揚げたモロッコ版揚げ餃子だ。パリッとかじると、具材の旨味とともにスパイスの香りがふわりと広がる。夕暮れから賑わう屋台でも名物の一つ。仕事終わりにひと息つくにももってこいの味わいだ。
家庭料理としてもおなじみで、特に大勢で囲む食卓で大活躍する一品。家族や友人、近所の人と一緒につくることも多いという。おしゃべりしたり、途中でお茶を飲みながら。それは食事と同じぐらい大切な時間である。
余計につくれば、シェアするのもこの国の文化。近しい仲間以外にも、越してきたばかりの隣人や通りがかりの人、高齢者などに食事を届けるのも常。みんな同じ人間同士、ここでは分かち合うのが当然なのだ。おいしいものも、楽しい時間も、幸福も。
そんなこの国の朝は、まさにパンの国という風情。中心となるのは街のベーカリー。ここを起点にパンが行き交う。台車からこぼれるほどのパンを売店や食堂に運ぶ配達人、毎朝生地を持ち込み家族用のパンを焼いてもらう近所の主婦やお使いの子供たち。活気に満ちた光景が、旅行者にまで元気をくれる。鼻をくすぐる香ばしい香りとともに、それは幸福のお裾分けである。
おススメのパン
スパイス香る。
「クミンポテサラサンド」と「オレンジサラダ」
レシピは超シンプル!
朝の食卓に香りのごちそう
スパイスやハーブ、柑橘系の香りが魅力のモロッコ料理から、朝食にぴったりの2品をご紹介。「クミンポテサラサンド」は、じゃがいもとゆで卵にクミン、オリーブオイルをふるだけ。現地では平焼きパンに挟むのが一般的ですが、バターの風味豊かなしっとりとした食感の食パンを生で合わせると、ひと味違った美味に。シナモン、ミントが香る「オレンジサラダ」とともに。
おススメのパン
材料(2人分)
[クミンポテサラサンド] |
|
ロイヤルブレッド(6枚切り) |
2枚 |
じゃがいも(小) |
2個 |
ゆで卵 |
1個 |
塩 |
ふたつまみ |
クミンパウダー |
適量 |
オリーブオイル |
大さじ2 |
[オレンジサラダ] |
|
オレンジ |
2個 |
グラニュー糖 |
適量 |
シナモンパウダー |
適量 |
食用ローズウォーター(なくても可) |
少々 |
スペアミントの葉 |
少々 |
作り方
- クミンポテサラサンドを作ります。じゃがいもは皮をむき、一口大に切ってから塩少々(分量外)を加えた湯で竹串が通るまでゆでます。
- ボウルに①、ざく切りにしたゆで卵を入れ、塩、クミンパウダーをまぶします。
- ロイヤルブレッド1枚の上に②を広げたら上からオリーブオイルを回しかけ、もう1枚のロイヤルブレッドをかぶせます。斜めに2等分してから1人分ずつ器に盛ります。お好みでクミンパウダーや塩をさらにふってもOKです。
- オレンジサラダを作ります。皮をむいたオレンジを厚さ5mm程度の輪切りにして皿に並べ、グラニュー糖、シナモンパウダー、ローズウォーターを順にふりかけ、スペアミントを散らします。
ひとくちメモ
食用のローズウォーターは少量かけるだけで魅惑の香りが楽しめる優れもの。なくても十分おいしいですが、インターネットなどで購入できるので、ぜひお試しを。