フランス共和国
オーヴェルニュ地方 ル・ピュイ=アン=ヴレ
ポテトとのびるチーズ!
パンと一緒の幸せ
オーヴェルニュ風「レンズ豆とじゃがいものスープ」。野菜とベーコンをコトコト煮た一皿は、パンと合わせるとしみじみと幸せを実感するおいしさだ。ル・ピュイのレンズ豆は乾燥野菜で初めてAOC(原産地呼称統制)を取得した品質で、粒がしっかりして風味が強い。
撮影:工藤睦子
月刊ダンチュウ[dancyu]
2021年 6月号
編集タイアップ企画より
オーヴェルニュ風「レンズ豆とじゃがいものスープ」。野菜とベーコンをコトコト煮た一皿は、パンと合わせるとしみじみと幸せを実感するおいしさだ。ル・ピュイのレンズ豆は乾燥野菜で初めてAOC(原産地呼称統制)を取得した品質で、粒がしっかりして風味が強い。
撮影:工藤睦子
月刊ダンチュウ[dancyu]
2021年 6月号
編集タイアップ企画より
フランス共和国オーヴェルニュ地方 ル・ピュイ=アン=ヴレ
ポテトとのびるチーズ!パンと一緒の幸せ
*取材協力:料理研究家・柳瀬久美子さん。エコール・リッツ・エスコフィエでディプロマを取得、現地のフランス人主婦に学んだ家庭料理にも定評がある。
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地方色豊かなフランスの中でも、その景観は際立っている。中南部の高原地帯・オーヴェルニュ地方に位置するル・ピュイ=アン=ヴレ。中世の面影を残す街中に火山活動の名残の岩山が点在し、頂上に建つ聖堂や聖母子像が厳かに眼下を見下ろす。一方で、住民たちは親しみやすく温かい。有名なサンティアゴ巡礼路の起点。旅人をもてなし、励ましてきた長い歴史があるのだ。
街の隠れた楽しみが、じゃがいもを使った料理。周辺は石灰岩の台地。豊壌な大地とは言えないけれど、ミネラルの多い土壌、清涼な水と空気に育まれた高原野菜に定評がある。じゃがいものほかにも、最高品質の呼び声高いレンズ豆が有名だ。
「レンズ豆とじゃがいものスープ」は、そんな地場食材を組み合わせた定番メニュー。一緒に煮込むベーコンから出るだしと塩、胡椒のみで味つけをした素朴な料理だが、素材の滋味がしみわたるように旨い。パンとの相性も抜群。土地の味と小麦の風味が溶け合う幸福──。これもパリの洗練とはひと味違った、フランスの美味である。
もう一つ、日本でも人気の料理が“のびるマッシュポテト”の「アリゴ」。餅のようにのびる秘密はトム・フレッシュと呼ばれる特産チーズにあり。火にかけながら練ると、強い粘りが生まれるのだ。
ル・ピュイから巡礼路を南西に進んだオーブラック地方の発祥。のどかな牧草地も昔は荒野。命がけで難所に挑む巡礼者たちにも施されていたという。パンや肉にからめて食べると、体も心もほかほかになる。人から人へ温かさを伝える味わいだ。
さて、ル・ピュイの朝は祝福のミサで幕を開ける。今日の糧となるパンと水をリュックに詰めて、大聖堂へ集まってくる巡礼者たち。約1500kmの長く険しい旅もここから始まる。途中で脱落する人や道を変える人もいる。それも、それぞれの巡礼だ。そしてどの道を行こうとも、おいしい料理、人との出会いがきっとある。
おススメのパン
トーストと好相性!のびるマッシュポテト「アリゴ」
じゃがいもとチーズのおいしいハーモニー。日本でもビストロやワインバルで話題の料理を、家でつくりやすくアレンジ!
フランス中南部、美しい高原と山々が広がるオーヴェルニュ地方〜オーブラック地方の名物料理です。現地では、マッシュポテトと熟成前の特産セミハードチーズ(トム・フレッシュ)を練り合わせてつくられていますが、今回は家でつくりやすくアレンジ。トーストしたパンや肉料理のつけ合わせ、ワインの友にもぴったり!クリーミーでほっとするおいしさです。
おススメのパン
材料(4~5人分)
塩バターフランスパン |
好きなだけ |
じゃがいも(男爵) |
4個 |
にんにく |
1片 |
モッツァレラチーズ |
120g |
グリュイエールチーズ |
60g |
生クリーム |
100ml |
無塩バター |
25g |
塩、胡椒 |
各適量 |
作り方
- よく洗ったじゃがいもとにんにくは皮つきのまま、たっぷりの水を張った鍋に入れ、やや多めの塩を加えて柔らかくなるまでゆでます。
- じゃがいもとにんにくを取り出し、どちらも熱いうちに皮をむいたら、マッシャーなどを使ってつぶします。
- 鍋に②と無塩バターを入れ、余熱でバターが溶けたら全体を混ぜ、さらに生クリームを少しずつ加えながらよく混ぜます。
- ③を弱火にかけ、角切りにしたモッツァレラチーズ、きざんだグリュイエールチーズを加え、ヘラなどでよく練り合わせます。全体が餅のようにのびるようになったら、塩、胡椒で味を調えます。
- 塩バターフランスパンは、オーブントースターなどでこんがり焼き、熱々の④をからめるなどしていただきます。
ひとくちメモ
どんなパンとも好相性。特にトーストした「塩バターフランスパン」なら、バターの風味が絶妙なアクセントになります。
冷めるとのびがなくなりますが、電子レンジである程度は元の状態に戻るので、夕食用につくった残りを翌朝に楽しむこともできます。