トルコ共和国
朝の食卓。パンの香りは流れる
トルコの定番朝食の一つ、薄い小麦粉生地でつくる「ボレッキ」の人気メニューから。何層にも重ねた生地の間に炒めたほうれん草と白チーズを挟み、オーブンで香ばしく焼き上げた「ほうれん草のボレッキ」。トルコ紅茶のチャイを添えて。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2023年6月号
編集タイアップ企画より
トルコの定番朝食の一つ、薄い小麦粉生地でつくる「ボレッキ」の人気メニューから。何層にも重ねた生地の間に炒めたほうれん草と白チーズを挟み、オーブンで香ばしく焼き上げた「ほうれん草のボレッキ」。トルコ紅茶のチャイを添えて。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2023年6月号
編集タイアップ企画より
トルコ共和国
朝の食卓。パンの香りは流れる
*取材協力:「HAN(ハン)」東京都目黒区中央町1-19-14 メディス学芸大学2階 ☎︎03-6826-9314 旅する料理研究家・口尾麻美さんが各国で出合った料理とナチュラルワイン、クラフトビールを楽しめる店。
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この国の朝は、パンの香りとともに幕を開ける。暗いうちから営業するベーカリーを皮切りに、カフェや食堂が次々と開店。パン売りやサンドイッチの屋台が通りを埋めていく。住宅街では家々に注文されたパンを届けて歩く配達人の姿も見える。人を起こすのもパンなのだ。
もともとパンが国民食とも呼べるトルコ。パン自体の種類はもちろん、調理パンやパン料理、パンに合うおかずやスープも無数にある。世界三大料理の一つに数えられるトルコ料理の核にはおいしいパン、そのパンを生み育んできた長い歴史を持つ小麦粉文化がある。
朝食として愛されているパン料理も多彩で、その定番の一つが「ボレッキ」。ユフカという紙のように薄い生地を層に重ね、間に具を挟んで焼いたり、具を包んで揚げたりもする。たいていの街に専門店があり、朝から気軽に立ち寄れる街角グルメとなっているが、実はオスマントルコの宮廷料理がルーツとの説もある。外はパリッ、中はしっとりとした絶妙な食感と、皮と具が一体となって広がる味にはボレッキ職人たちの技が宿る。
とはいえ、多くの人が言うには「一番はアンネ(母)の味」。料理上手と誉れ高いトルコのアンネが得意なおやつでもあり、ベテラン主婦なら生地づくりから当然のごとくやってのける。技術だけでなく手間がかかるでしょ?と聞くと、それが何より大事との答え。手をかけるごとに料理に深い味わいがこもると信じているのだ。
休日の朝は彼女たちが最も腕を振るうとき。たっぷりのパンとチャイにチーズ、蜂蜜……。小皿料理の「メゼ」もいろいろ用意して、家族で、時には友人とゆっくり楽しむ。パンの香りと尽きない美味、そして何時間も続くお喋り──誰の中にも寛ぎと幸福が満ちてくる。トルコの料理がおいしい理由が、この食卓に詰まっている。
おススメのパン
朝のトーストに新しいおいしさ。トルコの小皿料理「メゼ」
野菜やハーブ、スパイスが香るパンの友。ヘルシーで作り置きもOKです
パンをおいしく楽しむ知恵が詰まったトルコの食卓。今回は、人気のトルコ流・小皿料理「メゼ」の中から、朝のバタートーストの友にお薦めの3品を紹介します。写真手前から、野菜のピリ辛ペースト「アジュル・エズメ」、爽やかなヨーグルトときゅうりのペースト「ジャージュク」、コクのある鶏肉と胡桃のペースト「チェルケズ・タブウ」。小麦粉とバターの香り豊かな食パンのトーストと一緒にどうぞ。
おススメのパン
材料(4人分)
ロイヤルブレッド(6枚切り) |
適量 |
バター |
適量 |
[アジュル・エズメ] |
|
トマト |
2個 |
玉ねぎ |
1/3個 |
ししとう |
3本 |
イタリアンパセリ |
3本 |
A にんにく(すりおろす) |
小さじ1/2 |
チリパウダー |
小さじ1 |
トマトペースト |
大さじ1 |
パプリカペースト |
大さじ1 |
レモン汁 |
大さじ1 |
オリーブオイル |
大さじ2 |
[ジャージュク] |
|
プレーンヨーグルト |
1パック(400g) |
きゅうり |
1本 |
B にんにく(すりおろす) |
小さじ1 |
好みのドライハーブ |
小さじ1 |
塩 |
小さじ1/2 |
オリーブオイル |
適量 |
[チェルケズ・タブウ] |
|
鶏むね肉 |
1枚 |
牛乳 |
100ml |
パン粉 |
大さじ2 |
にんにく(すりおろす) |
小さじ1 |
塩 |
小さじ1 |
胡椒 |
適量 |
胡桃パウダー |
大さじ2〜3 |
オリーブオイル |
大さじ1 |
C バター |
大さじ1 |
チリパウダー |
少々 |
胡椒 |
少々 |
作り方
- [アジュル・エズメ]を作ります。トマトは皮をむき、半分に切ってすりおろします。玉ねぎ、ししとう、イタリアンパセリはみじん切りにします。
- フライパンに①とAの材料を入れて火にかけ、水分を少しとばしたら、レモン汁とオリーブオイルを加えて混ぜます。火から下ろし、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やしておきます。
- [ジャージュク]を作ります。ボウルにキッチンペーパーを敷いたざるをのせ、ヨーグルトを入れてふんわりとラップをし、冷蔵庫に入れて半分ぐらいの量になるまで水きりをします。
- ボウルに③とすりおろしたきゅうり、Bの材料を入れて混ぜ合わせ、器に盛りつけてからオリーブオイルを回しかけます。好みで黒オリーブ(分量外/なくても可)をのせます。
- [チェルケズ・タブウ]を作ります。鶏むね肉は皮を取り、たっぷりの湯で中まで火が通るようにゆでてから、細かく切ってフードプロセッサーにかけ、ペースト状にします。
- ⑤に牛乳、パン粉、にんにく、塩、胡椒を加えてさらに撹拌し、よく混ざったら、胡桃パウダー、オリーブオイルも加え、もう一度軽く撹拌してから器に盛ります。
- フライパンにCのバターを溶かし、チリパウダーを入れて軽く炒め、香りが出てきたら胡椒も加えて火から下ろし、⑥に回しかけます。
- ロイヤルブレッドはトースターやオーブンなどでこんがり焼いたら、十字に切り込みを入れて熱いうちにバターをのせ、②、④、⑦に添えます。パンをちぎりながら、それぞれのペーストをのせてどうぞ。
ひとくちメモ
作り置きもOK。ヘルシーで初夏にぴったりの「メゼ」3種です。一品ずつでも豊かな味わいが楽しめますが、余裕のある日にはその組み合わせをぜひ試してみて。「ジャージュク」はヨーグルトの水きりを軽くするだけで、冷たいスープとしてもおいしくいただけます。