リトアニア共和国
北国の光と味わう。蕎麦粉のパンケーキ
「蕎麦粉のパンケーキ」に、きのこのソテーをサワークリームで和えたソースを添えて。リトアニアの蕎麦粉は殻ごと挽いた全粒蕎麦粉で風味が濃厚。酪農王国でもあり、サワークリームやヨーグルトなどの乳製品もおいしい。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2023年 9月号
編集タイアップ企画より
「蕎麦粉のパンケーキ」に、きのこのソテーをサワークリームで和えたソースを添えて。リトアニアの蕎麦粉は殻ごと挽いた全粒蕎麦粉で風味が濃厚。酪農王国でもあり、サワークリームやヨーグルトなどの乳製品もおいしい。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2023年 9月
編集タイアップ企画より
リトアニア共和国
北国の光と味わう。蕎麦粉のパンケーキ
*取材協力:「HAN(ハン)」東京都目黒区中央町1-19-14 メディス学芸大学2階 ☎︎03-6826-9314 旅する料理研究家・口尾麻美さんが各国で出合った料理とナチュラルワイン、クラフトビールを楽しめる店。
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国土の約3分の1が緑に覆われ、大小3000もの湖が点在するバルト三国の小国──リトアニアに短い夏が訪れている。一年で最高の季節を満喫しようと、人々は森に野苺やきのこを採りに出かけ、中世の面影が残る街ではレストランのテラス席で食事を楽しむ。夜遅くまで日が沈まず明るく澄んだ光が漂う中、見た目は素朴なものが多いこの国の料理も普段より輝いて見える。
「蕎麦粉のパンケーキ」は、そんなリトアニアの伝統料理。食事として、またはジャムや蜂蜜をかけてデザートにしたりと店でも家でも大活躍の一品だ。蕎麦の心地いい香りに少しさくっとした食感、噛むほどに広がる滋味。森の恵みであるきのこやハーブたっぷりのソースと一緒に頬張れば、舌の上にこの国を感じるようだ。
実はヨーロッパ有数の生産量を誇る蕎麦の名産地。蕎麦粉や蕎麦の実はどんなスーパーにもある身近な存在で、人々はこれらを日常的に料理に使い、パンケーキや焼き菓子、パンも焼く。寒冷地でも栽培できる貴重な穀類として古くから暮らしを支えてきた蕎麦だが、現在では食の楽しみを彩る定番食材の一つとなっている。
パンも同様。やはり北国ゆえに小麦が育たなかった昔から、主食はライ麦でつくる黒パン。だが、その種類は実に多彩で、シンプルな食事パンからスパイスやシード、マッシュポテト入り……。そんなパンをリュックに忍ばせ、森でのんびり過ごすのがこの国の人々のお気に入り。それは一見質素のようで何と豊かな時間だろう。
さて、夏でも朝は涼しいリトアニア。窓を開ければ、街の近郊に広がる森から清涼な空気が、家の隅々まで流れ込んでくる。その中で食べるパンやパンケーキのおいしいこと。リトアニアの人々が長い時間をかけて選んできた幸福を、改めて教えてくれるこの国の朝である。
おススメのパン
夏の朝を美しく彩る。ピンク色の冷たいスープにパンを添えて
ビーツをゆでれば混ぜるだけ。栄養満点の“飲むサラダ”
目を引く色鮮やかなスープは、リトアニア料理の「シャルティバルシュチェイ」。夏が旬のビーツの滋味に、コーカサス地方が起源の乳製品・ケフィアの酸味とコク、ディルの清涼感を添えた冷たいボルシチです。合わせたパンは、トーストするとサクッとした食感と香ばしさが魅力の山型食パン。もとは黒パンが主流のリトアニアですが、現在は小麦粉でつくる白パンもポピュラーになっています。
おススメのパン
材料(4人分)
ロイヤルブレッド山型 |
適量 |
ビーツ |
中1個(約250g) |
万能ねぎ |
1本 |
きゅうり |
1/2本 |
ディル |
適量 |
ゆで卵 |
1〜2個 |
ケフィア |
600〜700ml |
塩、胡椒 |
各適量 |
じゃがいも |
適量 |
作り方
- ビーツは皮つきのまま鍋に入れ、ひたひたの水を注いで火にかけ、竹串が通るぐらいの柔らかさまでゆでたら火からおろし、ゆで汁ごと粗熱が取れるまで冷まします。冷めたら皮をむき、せん切りにします。
- 万能ねぎは長さ5mm〜1cmの小口切り、きゅうりは斜め輪切りにしてからせん切りにします。ディルとゆで卵は刻み、それぞれ少量をトッピング用に分けておきます。
- ボウルに②の万能ねぎとディル(トッピング用は除く)を入れ、塩少々を加えてもみます。万能ねぎがしんなりし、ディルの香りが出てきたら、①とケフィア、②のきゅうりを加えてよく混ぜ、塩、胡椒で味を調えます。
- ③に②のゆで卵(トッピング用は除く)を加えて混ぜ、冷蔵庫で冷やします。
- ロイヤルブレッド山型は、トースターなどでこんがりと焼きます。
- ④を器に盛り、②で取り分けたトッピング用のディルとゆで卵を飾ります。縦半分に切った⑤、ゆでたじゃがいもとともに食卓へ。
ひとくちメモ
ケフィアがない場合は、1:1のヨーグルトと生クリームで代用できます。仕上がりは少しもったりとした食感になりますが、サラサラにしたい場合は最後に水や炭酸水を加えて調節してください。また、①でせん切りにしたビーツの半量をりんごジュースにつけてから③に加えると、さらに美しい色合いになります。