英国
クリスマスプディングが、
香る頃には…
英国クリスマスの食卓を飾る「クリスマスプディング」。出来上がるまで約1カ月もの熟成期間をかけ、食べる直前には火をつけてアルコールをとばし、幻想的な青い炎と芳しい香りを楽しむ。生地の中には、翌年の幸運を占うコインや指輪を仕込む家庭も多い。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2021年 12月号
編集タイアップ企画より
英国クリスマスの食卓を飾る「クリスマスプディング」。出来上がるまで約1カ月もの熟成期間をかけ、食べる直前には火をつけてアルコールをとばし、幻想的な青い炎と芳しい香りを楽しむ。生地の中には、翌年の幸運を占うコインや指輪を仕込む家庭も多い。
撮影:牧田健太郎
月刊ダンチュウ[dancyu]
2021年 12月号
編集タイアップ企画より
英国
クリスマスプディングが、香る頃には…
*取材協力:「Niki’s Kitchen英語料理教室」各国本場の味をネイティブ講師に教わる料理教室。今回は英国料理のシュウ先生が担当。
www.nikikitchen.com
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英国のクリスマスは、11月に始まる。それは12月25日の約5週間前──イエス・キリストの降誕を待ち望むアドベント(待降節)直前の日曜日に始まる伝統的な「クリスマスプディング」づくり。
材料は、パン粉と小麦粉、卵、牛脂やバター、ラム酒やシェリーに漬けた何種類ものドライフルーツにナッツ、スパイスなど。それらを合わせた生地を、家族一人一人が願い事をしながらかき混ぜ、専用のポットで蒸すこと5〜8時間。さらに約1カ月間は冷たい場所に置き、時々ラム酒やブランデーをかけながら熟成させる。こうしてできるずっしり重たいプディングは、家族で迎える聖夜の食卓の主役になる。
そもそも英国で、クリスマスは家族の日。普段は遠く離れて暮らす家族もできる限り集まり、絆を確かめ合う。そんな大切な一日に向けて、リビングにツリーやヤドリギの飾りつけをしたり、友人に宛てたカードを書いたり……。
待つ時間の間にも、クリスマスプディングは一日一日、芳醇な香りと複雑な味わいを湛えていく。有名なヨークシャープディングやカスタードプディング、ブレッドプディングなど、プディングは英国を代表する家庭料理で種類も多いが、これほど手間のかかるものはない。クリスマスプディングは、時間が育てる家族の味だ。
そして迎えた12月25日の朝。英国では公共の交通機関も休みとなり、昨日まで美しいイルミネーションに彩られていた街は静まりかえる。その一方で、家の中には楽しそうな笑い声が響く。子供たちはプレゼントに夢中になり、大人は午後のディナーのために多めにつくった前菜やパンで乾杯するというのが通例だ。
さまざまな出来事のあった2021年、今年はいつにも増してクリスマスを心待ちにする人が多いはず。止まっていた時間が動き出すように──そんな願いを込めて囲む食卓に、これほどふさわしい日はない。
おススメのパン
ふんわりサクッ!カスタードがしみた「ブレッド&バター・プディング」
甘さ控えめ。ダイアナ元妃も愛した英国“郷愁の味”
クリスマスプディングが特別な日のプディングなら、日常的に愛されているのが「ブレッド&バター・プディング」。英国人のコンフォートフード(郷愁の味)で家庭ごとにわが家の味があり、かのダイアナ元皇太子妃も大好物だったとか。ソフトな食パンでつくるとふんわりサクッ!食パンの新しいおいしさを体験できます。
おススメのパン
材料(8人分)
ダブルソフト |
5枚 |
無塩バター |
50g |
マーマレード |
大さじ3 |
卵(Lサイズ) |
3個 |
砂糖 |
60g |
牛乳 |
400ml |
生クリーム(乳脂肪分35%) |
200ml |
バニラエクストラクト |
小さじ1 |
レーズン |
ひとつかみ |
[シナモンシュガー] (あらかじめ混ぜておく) |
|
シナモンパウダー |
小さじ1 |
ブラウンシュガー |
小さじ1 |
作り方
- ボウルに卵、砂糖、牛乳を入れてよく混ぜ、全体がなじんだら、生クリーム、バニラエクストラクトを加えてさらに混ぜます。
- ダブルソフト5枚の片面に、室温に戻して柔らかくした無塩バター、マーマレードを1/5量ずつ塗り、それぞれ対角線に斜め4等分に切ります。
- 耐熱皿(深め)の内側にまんべんなく無塩バター(分量外)を塗り、②を耳を下にしてすき間なく並べたらレーズンを散らし、①を注いで2〜3分おきます。全体に液がしみ渡ったら、シナモンシュガーの半量をふります。
- 180度に予熱したオーブンで③を20〜25分焼きます。20分たったら一度焼き加減を確かめ、余計な水分がとんで表面がサクッ、中がふんわり仕上がっていたら焼き上がり。足りないようなら、もう5分焼いてください。
- ④をオーブンから取り出し、残りのシナモンシュガーをふります。
ひとくちメモ
今回は大きめの耐熱皿(約30cm×20cm)を使いましたが、耐熱皿やオーブンのサイズに合わせて材料の比率はそのまま、分量を調節して作ってください。食べるときは生クリーム(乳脂肪分45%がお薦め)をかけたり、季節の果物、アイスクリームを添えるとご馳走感がアップします。